踏み出す、一歩!社外コミュニティに初めて参加してみた話
この夏、人生で初めて、社外コミュニティに参加してみました。
参加するまでの経緯や参加しての感想などをお話しします。読んだ人が、自分の組織・世界の「外」にアクセスできるようになったら嬉しいです。
自己紹介
データビジネステクノロジー本部の高橋です。システムエンジニアです。
現在は主に、インテージ社のサービス「SCI」(全国消費者パネル調査。全国の消費者から日々の買い物データを継続的に収集している)の刷新プロジェクト内で、とある一分野のプロジェクトリーダーをしています。
また、「人と人をつなぐことで、働く人の活躍支援や組織の自己学習の加速に貢献したい」という想いから、インテージグループ内で読書会や社内イベントのスタッフもやっています。
趣味はいろいろありますが、ここではアナログゲームをあげておきます。
特に、テーブルトークロールプレイングゲーム(「ゲーム機などのコンピュータを使わずに、紙や鉛筆、サイコロなどの道具を用いて、人間同士の会話とルールブックに記載されたルールに従って遊ぶ“対話型”のロールプレイングゲーム(RPG)」(※1)のことです。って、知らないですよね……)やボードゲームで遊んでおり、後者についてはインテージグループ内で月一回程度、ボードゲームをプレイするイベントを開催しています。
参加している社外コミュニティ
「シン・アジャイル」という社外コミュニティに参加しています。
このコミュニティは、日本の組織に「アジャイル」を宿すべくその知見を共有し合うためのコミュニティで、日本のアジャイル開発の世界では有名な市谷聡啓さんが立ち上げをされています。
参加したきっかけ
このコミュニティの立ち上げ自体は、私が定期的にチェックしている技術系ニュースサイトから知りました。
普段だったらさらりと流してしまっていたかもしれませんが、いくつかの要因が重なって参加を決意することになりました。
1. 社内読書会でお世話になった
以前インテージグループ内では、「カイゼン・ジャーニー」という書籍を題材に読書会が開催されており、私もそこに一参加者として参加していました。その読書会の最終回にゲストとして、本の著者の一人だった市谷さんがいらっしゃったことが、今回のコミュニティ参加のきっかけのひとつです。
読書会の主催者が「最終回だからダメもとで市谷さんを呼んでみようぜ」と言い出した時は、「おいおい、そんな簡単にOKしてもらえるわけないだろ」と思っていましたが、実際に参加していただいた上、議論にも積極的に入っていただいたことで、「いつか市谷さんが何か動いたら、恩返しの意味も込めて参加しよう」と頭の片隅で思うようになっていたのです。
2. 初回開催日が会計年度の期初だった
当社の会計年度は7月から6月であるため、7月はいろいろなものが新しくなる季節なのです。私自身もこの7月に大きな異動となったため、この機会に新しいことにチャレンジしてみるかと前向きな気持ちになっていました。
そんな時に目に飛び込んできたのが、シン・アジャイルのコミュニティ立ち上げのニュースと「初回開催は7月11日です」という記載。
この偶然は逃してはいけないと思いました。
3. 利害関係なくマジメに仕事の話をしたかった
一般的に会社内で、利害関係なくマジメに仕事の話をする機会は少ないものだと思います。特に仕事のつながりのある人との間では、どうしても今後の関係性を考えてしまいますしね。
ただ、あまり「仕事」について思うことをため込むとそれはそれでよくないので、どこかで話す機会があるといいな、とは常々考えていました。
また、昔はグロービス・マネジメント・スクールのケーススタディ形式の研修が大好きで、社外の方とビジネスについて話したり意見を戦わせたりすることから刺激を得ていたのですが、コロナ禍でそれも難しくなり、別の方法を探していました。
そんな時にこのコミュニティ立ち上げのニュースを聞き、そろそろ社外の人と久しぶりに話してみたいと考えました。
4. 組織にアジャイルの考えを適用することに興味があった
私はスクラムマスターの資格は持っていませんが、「朝会」「ストーリーポイントによる見積もり」「振り返り」など、アジャイルの技法をプロジェクトに取り入れ、ハイブリッドアジャイルに近い形でプロジェクトを進めることが多いです。
その一方で、アジャイルの考えを取り入れれば取り入れるほど、従来の組織構造や組織運営との齟齬が大きくなるということを、他のプロジェクトリーダーの様子や自身の体験を通して感じるようになっていました。
開発チームだけアジャイル開発を推し進めても、その外側にある組織がアジャイルの考え方に違和感があるのであれば、結局顧客に価値は提供できないのではないか。
そう感じていた時に、このコミュニティ立ち上げのニュースを耳にし、解決のヒントを少しでも得たいと思うようになりました。
参加するために何をしたか?
ネット上の応募ページにメールアドレス等の必要情報を入れてボタンを押しただけです。
お金の支払い等も一切なく、すぐに自分のメールアドレスへ当日のZoom情報が送られてきました。
簡単ですね。勇気とタイミングだけです。
そういえば、昔のバラエティ番組の歌にもそんな歌詞がありましたね……。
初回に参加してどうだったか?
1. 開催直前
初回は、当日の20時少し前にZoomに入りました。
久しぶりにはじめましての人たちと話すということで、ほどよく緊張している感じが自分でもわかります。
Zoomの表示名称を「会社名&日本語表示の氏名」に変更していますし、オンライン名刺のURLの準備もばっちりです(グロービスの研修初日は名刺交換の嵐でしたからね)。もちろんZoomは顔出しにしています。
おお、続々入ってきましたね。
……ん?
ほぼ誰も顔出しにしていませんね。
ほぼ誰も会社名を表示していませんね。
名前部分に至っては、日本語のハンドルネームを表示している方もいますね。
……なるほど。
とりあえず顔出しオフにし、氏名表示をデフォルトに戻します。
こうして、軽すべりした気分のまま私は20時を迎えたのでした。
2. 開催中(市谷さんからのお話)
まずは、市谷さんからの「なぜ、あらためてアジャイルのコミュニティを立ち上げるのか」というテーマのお話です。
お、このコミュニティではマインドマップツールのmiroのオンラインふせんを使うのですね。話を聞いた感想などをここにどしどし書いていくようです。
miroは社内読書会でも使っているので心配なし。参加者(数十名)のカーソルが一斉にmiro上を動いていくのは壮観です。
……なるほど、「”最適化”への最適化」にとらわれ変化に適応しがたい日本企業の現状を打破するために、アジャイルの知恵を適用しようということなのですね。
そんなことを思いながら横目でちらりとmiroを見てみると。
……!!
速い、速すぎる。
市谷さんが話した10~20秒後くらいには、話した内容がサマライズ&わかりやすく構造化された状態でmiroのふせんに反映されています。
しかもそれを一人ではなく複数人が阿吽の呼吸でやっており、なおかつ抜けや重複がない状態にしています。
もしかしてここの参加者って、とんでもなく頭の回転がよい人たちなのでは……。
そんなところに飛び込んでしまって、大丈夫か、自分。
そんな私の不安とは関係なく、市谷さんのお話は終了。目指す方向性は私の課題感と重なる部分が多かったし、刺さるワードも多かったから来てよかったですが、この後コミュニティでやっていけるのかなあ。
3. 開催中(グループトーク)
お話の後は、グループトークの時間です。
「あなたの考える「アジャイル」とは」「このコミュニティで取り組みたいことは何か」というテーマで、miroを使いつつ、ブレイクアウトルーム(参加者を複数のグループに分けることができるZoomの機能です)に分かれてトークをします。
ふせんを貼りつつブレイクアウトルームに移動します。ブレイクアウトルームにいらっしゃった方の年齢層は30代から40代といったところでしょうか。当たり前ですがはじめましての人ばかりで、緊張するのは否めません。
が、ここでひよっては何のために来たのかわかりません。アイスブレイクをするつもりで、つたないながらしゃべってみました。
お、いい感じのリアクションです。もう少し踏み込んでみます。
……なるほど、そんな視点があったのですか。へえ、そんな方向に興味があるのですね。……
だんだんエンジンがかかって来て、気づけば普通に話せていました。一応グループトークの場にも新たな気づきをちょっとは持ち込めたのでは、と思っています。
必要以上に臆することもなかったな、今後コミュニティで微力ながら貢献はできそうだな、という思いで初回は終了しました。
もちろんすごい方もいましたが、その一方で私と同じような悩みを抱えている方も大勢いることがグループトークを通してわかり、安心できました。
また、立場やバックグラウンドが違う人、利害関係なくマジメに仕事の話をできたのは純粋に楽しかったです。
今後の予定
初回の後、このコミュニティで取り組みたいことが複数挙がったため、分科会に分かれ活動することになりました。
興味がある分科会はいくつかあったのですが、私は初志貫徹で「組織アジャイル」の分科会にエントリー。
8月末時点では「まず組織アジャイルとは何かを言語化する(その後、そこに向かうために具体的にどんなことをすればいいのか洗い出すステップに進める)」というゴールのために各自が言語化作業に取り組んでいます。
分科会では、1ヶ月に1~2回のオンラインミーティングと、Discord上でのやり取りとで意思疎通を行なっていく予定です。
私は、このゴールは「組織アジャイルのビジョン(=組織アジャイルが適用された組織は5年後10年後にどうなっているのか)を言語化する」ということなのかな、と思いながらその方向でまとめようとしています。
最後に
自分の属している組織の外に出てみると、組織の中では得づらい刺激を得たり、自分一人では気づけない新たな視点に出会ったりすることができます。そして、外で得られた刺激や気づきを持ち帰ることで、自分や組織をさらに成長させることもできます。
特に、仕事はある程度できているけど何か物足りなさを感じている人や、現状に不満や焦りを感じているような人、それに、組織の中で閉塞感を感じている人には、ぜひ自分の組織・世界の「外」にアクセスしてほしいです。
ちょっとした勇気をもってアクセスするだけで、人生ががらりと変わるかもしれませんよ。