【社内勉強会】"ワクPy"がみんなをワクワクさせるまでの、ちょっとワクワクする話
「ワクPy(わくぱい)」と呼ばれる社内勉強会が発足してから丸3年が経ちました。運営メンバーもすっかり入れ替わり、社内では「システム開発全体を学びたいならワクPy!」と言ってもらえるようになってきています。嬉しい限りです。
そんな「ワクPy」ですが、最初の企画時点では1回目を無事に開催できるのかと不安でいっぱいでした。今回は、手作り感あふれる社内勉強会ができあがるまでに考えたことや開催にあたって大変だったことなどを振り返りつつ、立ち上げから運営の裏側について語っていきます。
自己紹介
データビジネス推進部の大木本と申します。インテージテクノスフィアに新卒で入社して、今年で6年目になりました。
就職してから5年間住んでいた東京都練馬区を離れ、現在は田んぼが広がる茨城県守谷市に住んでいます。東京ほどの便利さはありませんが、公園が多くて自然が気持ちのいいところですので、みなさまぜひお越しください!
ワクPyとは
発足当初の名前「ワクワクPython勉強会」を略して「ワクPy(わくぱい)」です。時を経て、勉強会で扱う範囲がPythonだけではないということで、現在は「ワクワクシステム勉強会」に変わりましたが、愛称はそのままがいいという声があり(その大部分は私)、今でもワクPyと呼ばれています。
ワクPyは、システム開発未経験・苦手分野がある人に向けた社内勉強会です。フロントエンド・バックエンドなど特定の分野ではなく、システム開発という大きな範囲で要件定義・設計・実装・テストをまんべんなく "経験" することが目的となっています。扱う技術もWebアプリに関すること全般が用意されていて、フロントエンド(React, JavaScript)・API(Python, flask)、データベース(PostgreSQL)、インフラ(AWS)などが学べます。
学習プログラムは、自主学習・講義・実践の三部構成です。一番の目玉である実践編では、4人程度でチームを組んで実際にアプリケーションを開発します。初対面同士・初心者同士で進めるのはなかなか大変ですが、運営メンバーもサポートしながらシステム完成を目指します。
学習範囲が広いからこそ、「設計はできるけど実装経験がない」「開発経験はないけどインフラ部署だからネットワークは得意」など、参加者一人ひとりが持つ "苦手" をメンバー同士の "得意" でカバーできる、みんなにとってちょうどよい勉強会になっています。
勉強会を企画する
私が3年目のとき、ある中堅社員から声をかけられて、打合せに参加しました。「勉強会を立ち上げたいから、まずはいま会社や社員が抱えている課題について、若手の話を聞かせてほしい」とのこと。
(このときは自分が運営する側になるとは思っていませんでした。)
経験できる技術が配属先の業務範囲に依存していて、中には実装経験がない人がいる
年次が上がるにつれて実装機会が減少し、経験がないままの人もいる
開発経験がないことをコンプレックスに感じている人がいる
私自身は開発部署にいたので実装もそれなりに経験してきましたが、たしかに周囲にもいる気がするという感想でした。「実装は委託しているから自分は設計までしかやったことがない」という同期や、「年次が上がって上流工程の担当になったから最近の技術についていけない」という先輩の話を思い出しました。
インテージテクノスフィアは、要件定義から実装まで、幅広く対応しているため、部署による偏りが発生してしまうのはある程度仕方ないことかもしれません。ただ、それをコンプレックスに感じてしまうというのは、仕事へのモチベーションにもつながってくるので、特に重要な課題だと感じました。
このような課題を抱く社員に対して、どんな勉強会があるとよいのか、と議論が発展していきます。
そして出てきたキーワードは「できるだけ低いハードル」でした。
そもそもプログラミングや実装自体は、さまざまな学習サービスや社内外の勉強会が存在するため、自力で学ぼうと思えば学べます。アクティブでポジティブな人なら「コンプレックスに感じるなら行動して克服すればいい」なのかもしれません。
でもそうできない理由がある人がいるのも現実です。仕事の都合(人不足・業務多忙など)や家庭の都合(お子さんがいるなど)もありますし、自信がない・勇気がない・やる気が出ないというのも、学習に対するハードルになってしまいます。
ならば、そのハードルをできるだけ取り除いた場があれば、自ら一歩踏み出して行動できる人は多いのではないか、という考えに至りました。
そうして話し合いは進み、今回の勉強会で実現したいことが出てきました。
勉強会は業務扱いとする(やり過ぎを防ぐために上限あり)
⇒ 業務調整をしてもらいやすくするため参加者の到達目標は、システム開発を経験して「ひと通りやったことがある」と言えるようになること
⇒ 最初のハードルは低く設定企画運営・講義資料は社内で制作する
⇒ 社外の知らない人より、社内の人間の方が安心感があり、交流が広がる一方的な「研修」ではなく、実践的に「学び合う」場にする
⇒ 最低限のリードはしても、運営メンバーも含めてみんなで学ぶ場にする(運営のハードルも低く)
その後、企画の中身と運営していくメンバーも決めなければと何度か打合せを重ね、開発テーマはWebアプリとすること、自主学習・ハンズオン講義・実践という三部構成にすることを決めました。
そして、検討に参加していたからという理由で、私も運営メンバーとして参加することになったのでした。
…逆に、この時点で決まっていることはこれだけでした。
スケジュールや今後運営していくメンバーの都合もあり、具体的な中身はやりながら決めていくこととして、早々に参加者募集が始まりました。
想像以上の反響
募集を開始すると、1日で定員が埋まり、さらに追加の要望もあり応募枠を増やすことになりました。本当にあっという間の満員御礼だったので、後から参加者に応募を決めた理由を聞いたところ「ハードルが低そうだったから」と口を揃えて言われました。たしかに会社でこんなに未経験者歓迎の掲示が出ることも、なかなかないですよね。
需要の高さがうかがえる反応に、運営としては嬉しさ半分冷や汗半分…。決まっていることのほうが少ない中で、あれよあれよという間に、運営4名・参加15名で「ワクPy」がスタートしたのです。
生みの苦しみ
講義は社内で作るんだ!という意気込みはいいものの、ハンズオン形式の講義を作るのはなかなか大変です。練習課題や発展課題、その答えを用意したり、講義時間内で終えられるように時間配分やトラブルが起きたときの対応を考える必要があります。
講師となる運営メンバーも自分の得意分野を教えるわけではないため、自分たちも勉強しながら準備して、当日の講義を行うというのは正直かなり大変でした。世の中で講師をしている人は本当にすごいです。
さらに上回る大変さが実践編では待っていました。
開発経験がない人がチームを組んで進めていくには、ある程度の導きが不可欠です。ヒントを出しすぎても自分で考える余地が無くなるし、逆に出さなければ時間が過ぎていくだけになってしまうため、その塩梅が難しい。
ワクPyスタート時点では実践編までに期間の余裕があったので「講義準備は早めに終わらせて、実践編を企画メンバーで模擬的にやり、つまづきポイントの洗い出しをしよう」と話していたのですが、実際は講義準備やらサンプルコードの用意やらでまったく手をつけることができませんでした。
とはいえ、せっかく集まってくれた参加者を路頭に迷わせるわけにはいかないので、常に数歩先を意識しつつ、目の前で悩んでいる参加者と一緒に悩みつつ、なんとかクロージングまで駆け抜けたのでした。
参加者の声
色々と不安要素があったにも関わらず、勉強会としてはかなり良い評価を得ることができたと感じています。勉強会の締めとしておこなったクロージングセレモニーでは、こんな感想がありました。
実際に手を動かせることが楽しく、ワクワクしながら経験ができた
要件定義からテストまで、フロントからバックまで、まんべんなく知識を得ることができた
社内の人で、初心者同士だから、気軽に相談できた
横のつながりができた
想像以上の完成度のWebアプリができたことにも驚きましたが、一人ひとりが成長実感を持てたことがなにより喜ばしいです。
また、実際のシステムに関することだけでなく、
社内ツールの新しい使い方を知った
スケジュール管理やタスク管理の大切さと大変さを知った
自分からチームへ発信することの大切さを知った
など、開発全体を進めるための経験や心得が獲得できたという声もあり、思わぬ副産物となりました。
もちろん勉強会として改善点も多く出てきたので、次年度に向けての振り返りで活用させていただきました。
ワクPyの現在と、その先の新たな場
現在、ワクPyとしては4年目が開催されています。
卒業生を含む数名で企画運営をしており、自分が教わったことを今度は後輩に伝えていくという、良いライフサイクルができていて、嬉しい限りです。
一方で、勉強会や資格試験に向けた勉強などもそうですが、一番難しいところは「達成した後になにをするか」です。何もしなければ忘れてしまうと分かっていても、なかなか難しいですよね。
学んだ知識やノウハウを自分の業務の改善提案をする、新しいサービスを企画提案するなど、道はさまざま考えられます。
その1つの選択肢として、私は次の勉強会も用意したいと考えています。勉強会がすべてではありませんが、ワクPyが「初心者がある程度知っていると言えるようになる」場であるなら、次は「ある程度それなりにやったことがあると言える」あるいは「この分野はできますと言える」ぐらいがちょうどいいでしょうか。
まだまだ構想中ですが、少人数で試験的に実施しているので、またどこかの機会でご紹介できたらと思います。
まとめ
今回は手作り勉強会「ワクPy」について、立ち上げの背景や運営が考えていたことなどを振り返ってみました。どこかの勉強会に参加する際には、それを立ち上げる人がいること、いろいろな思いが入り交ざっていることを少し思い出していただけると嬉しいです。
当社の技術ブログでは、2021年度のワクPy参加者がそれぞれの観点でブログを投稿していますので、よろしければこちらもご覧ください!
システム開発研修報告第一弾:「チーム運営」に向き合う
システム開発研修報告第二弾: 開発業務未経験の新人がリーダー?!
システム開発研修報告第三弾: 成果物をご紹介します!