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社内DX事例を公開しちゃいます。~AIによる価格データチェック~

今回で4記事目の投稿です。データビジネス推進部の柴田です。これまでは「物体検出の最新技術検証」、「AIを用いた性別・年齢推定」、「AI開発インターンシップ」をテーマに記事を書いてきました。

2023年春の大きな出来事の一つは、WBCで日本が優勝したことですよね。
ちなみに、私は3月に開催された日本vsチェコ共和国を東京ドームで観戦しました。

WBC日本vsチェコ共和国、試合前の様子

私は8回表まで観戦したのですが、東京ドームを出た直後に牧選手がホームランを打ち、ドーム内は大盛り上がりでした。
(帰るタイミングを少し遅らせるべきでした…)

私の小さな後悔はさておき、結果としては日本代表がWBC優勝ということで、WBCを通じてもらった感動を活力に、2023年もがんばっていきます!

はじめに

もうすっかり「DX」という言葉が定着してきましたね。 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、AIやIoTなどのデジタル技術を活用し、ビジネスモデルを強化すること・変革することを表します。
詳しくはインテージテクノスフィアのWebサイトでも紹介しております。

DXとは(インテージテクノスフィア Webサイトより)

今後、企業が生き残っていくためにはDXが不可欠とされており、さまざまな企業が注目しています。
また、インテージテクノスフィアはDXを実現したいと考える企業をサポートしています。

今回はDX事例として、社内で取り組んだ「AI導入による商品マスターの品質向上」について紹介します。
業務改善のためにAIを導入したい方、DXに興味がある方の参考になれば嬉しいです。
ぜひ、最後までお付き合いください!

DX化対象は価格データチェック業務

今回DX化の対象としたのは、商品マスターの価格データチェック業務です。
商品マスターについては、これまでnote記事を公開しています。
そちらも併せて読んでもらえると、今回の記事がより理解しやすいと思います。
「スキ」を押してもらえると励みになります!

上記note記事内でも商品マスターの業務内容が紹介されていますが、商品マスターへの情報登録は人手で実施しています。
また、商品マスターの情報は常に正確性が求められるため、厳格にメンテンナンスされています。

しかし、高品質な商品マスターを保つためには、人手作業にはミスが起こりうることを常に念頭に置いておく必要があります。
それに対してチェック体制を厳しくすればするほど現場の負担はどんどん大きくなってしまいます。 

そこで、今回は登録された情報の中でも重要なデータの一つである価格データに着目し、AIによるチェックを導入することで、現場の負担をかけずに品質向上を目指しました。

開発したAIシステム

今回の開発したAIシステムの概要を紹介します。
システム概要は図1の通りです。

図1:システム概要

上記図1の通り、今回はAI(機械学習)の入力データとして商品属性を与え、価格を予測させる仕様としました。
これにより、AIが予測した価格と登録されている価格との誤差が大きければ「登録された価格または商品属性が怪しい」と考えることができます。

機械学習には、決定木ベースの手法を採用しました。
決定木のイメージは、以下の通りです。

図2:決定木のイメージ ※あくまでイメージです。

決定木では、いくつかの条件で分岐を繰り返し、似たデータ同士を集め、最後に予測結果を出します。
図2のイメージでは、飲料商品の価格を予測している様子を表しており、例えば容器が缶で炭酸飲料ではない商品は100円と予測されます。

この図2を見てわかるように、決定木は非常にシンプルで理解しやすい手法です。
機械学習の手法は日々複雑で高精度なものが誕生していますが、多くの手法は予測の根拠がわからないブラックボックスです。
今回は、システムを利用する運用担当者が「なぜその予測結果となったのか」を調べることができるメリットを重視して、比較的シンプルな決定木ベースの手法を採用しました。

実際に異常値を含んだデータセットで実証したところ、しっかりと異常値を見つけ出すことができました。
今後、このシステムを活用することで、より効率的により品質の高い商品マスターの実現が期待できます。

さいごに

今回は社内の取り組みとして、商品マスター運用チームからAIチームに相談があったところからスタートしています。「DXのためのシステムの開発」が成果ではありますが、単にシステム化をした、というだけではなく、課題ヒアリングから解決アプローチ検討を経て、システム化までを一丸となって対応しました。

取り組みの成果を受けて、依頼元である商品マスター運用チームのメンバーからは以下のコメントをいただいています。

人間の経験に頼っていた部分(この商品ならこのくらいの価格のはず)をシステム化したことで、経験の浅いメンバーでも誤りを発見できるようになりました。現在は作っていただいたシステムを活用し、ルーチン運用業務でチェックできるように準備中です。ありがとうございました!

あらためて開発したものが役に立ったことを実感でき、すごく嬉しい気持ちになりました!これからもAIシステム開発を通して、人の役に立つものを作っていきたいです。

今回は社内の事例を紹介しましたが、インテージテクノスフィアでは社内外問わず、動画解析やデータ分析を通して、DXに取り組む企業のサポートを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

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