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データドリブン向上委員会という名の読書会【後編】

社内で行ったデータ活用に関する読書会に参加したら、いろいろ変わった話の後編です。
開催の経緯や読書会の概要については、前編をご覧ください。

そんなこんなで始まった読書会でしたが、後編では、読書会でどんな議論が盛り上がったのかをふりかえりつつ、読書会後に業務でさらにデータ活用の経験値を積んだ、なかよし(?)な2年目同期社員のふたりが「いま思うこと」を語ります。


引き続き、私たちが語ります

伊藤です。たまに山に登ります。
実家へ帰ったときに家族と山に登り、綺麗な景色や植物を見てきました。ただ翌日、私だけ筋肉痛になりリモートワークでの運動不足を痛感…
毎日運動せねば!と意気込んでいる今日この頃です。

怪しげに撮れてしまった毒キノコ?

S.Kです。たまに奥多摩に行きます。
マス釣りとキャンプと温泉とクラフトビールがあります。控えめに言って神ですね。

マスを釣っています

読書会後の近況

伊藤:読書会から3か月経過したけど、最近はどんな業務をしていますか?ちなみに私は、これからデータ活用に取り組もうとしているお客さまに対して、企画フェーズにあたる業務をしています。
具体的には、データの収集・整備からビジュアライズまでを行うことで、暗黙知の形式知化や、ビジネスへの活用の一助となるよう取り組んでいます。
企画フェーズなので、データを活用することでなにを実現するか、誰にどのように使ってもらうかということを明確にすることを目的として取り組んでいます。

S.K:私はデータ活用推進部署の方々に対して、継続的にサポートを行う業務をしています。レポート用データの最適化、ユーザー要望を受けたダッシュボードの改善など、幅広い範囲で対応しています。
ダッシュボードはいったん作り終えたので、「ユーザーが本当に必要なものとは?」、「より活用してもらうためには?」といった課題にお客さまと一緒に取り組んでいます。

伊藤:やはりお客さまによって、データ活用の段階はさまざまですね。読書会の時もこのようなテーマで議論をしました。

  • データ活用したい企業が身に付けるべきリテラシー

  • データ活用を「日常」にするための工夫

S.K:当時読書会でどんな議論をしたかを思い出しながら、いま思うことを語ってみますか。業務経験を積んだので考え方が変化しているかもしれません。

データ活用したい企業が身に付けるべきリテラシーとは

読書会で題材とした『データドリブンの極意』では、すべての人が持つべき「データリテラシー」としてこのように書かれていました。

データリテラシーとは「データを読み書きできる能力」です。
読む力:データが描くシーンを読み解き理解する能力
書く力:読み解けるようにアウトプットできる力

私が考えているすべての人が最低限持つべきデータリテラシーの必須要件は次の4つです。
データストーリーテリング:
データの背景にあるストーリーを導く力
データビジュアライゼーション:
データの内容を視覚的な表現からスムーズに理解し、かつその表現を選び取る力
データの基礎プロファイル:
データがどんな行動の結果であるか、粒度などを把握できる力
分析プラットフォーム:
データを共有基盤に置き、最新の安全なデータ・分析結果・意見がシェアされることで文化が醸成されると知っていること

『データドリブンの極意』より

読書会での議論ポイント

  • お客さまに「データ活用のスキルがほしい」と相談されたが、それがどんなスキルかすぐに答えられなかった。

  • 「リテラシー」とはよく言うけれど、それが実際何なのかをすぐに説明できない。目に見える資格じゃなさそうだし… 

読書会で出た意見

  • 自分たちがどんなデータを持っていて、意思決定のためにはあと何があればよいのか、わかればよいのかを知っていることが大事。

  • データ活用において自分自身がどのような役割なのかがわかっていることが大事。

  • 身近なデータ活用を体験して、その人の中で再定義できれば何が必要かわかるのでは?

いま思うこと

S.K:データ活用を促進する立場として、これからデータ活用をするようなお客さまに対してはどんな工夫をしていますか?

伊藤:これからデータ活用をしようとしているお客さまにとってハードルが高い、苦手なことって結構いろいろあるから、分けて考えたほうがいいですよね。

S.K:たしかに。お客さまによってはそもそもデータを見る、ビジュアライズして表現する文化がないですよね。

伊藤:手元にデータがあっても正しいデータ整備やデータ集計のやり方を知らなかったり。まさに私がやっていた業務だと、あまり今までデータを扱ったことがなかったお客さまもいたりして…。
1列に2つデータ入れるとか。これは本の中にも書いてありましたよね。あんまりビジュアライズしてデータを見るとかもない状態でした。

S.K:なかなかやりがいがありますなあ。よりよい状態にするためにどんな工夫をしたんですか?

伊藤:最初のころは「データ活用の価値」を知ってもらうことが最優先だったので、データ整備とか集計分析は基本的に私がやっていましたね。すばやくビジュアライズ結果を出して、こんなことができるというのを知ってもらってから、その結果をもとに「正しいデータ構造とは」というところまで意識を向けてもらうようにしていました。

S.K:段階的にどのスキルをとかではなく、とりあえずできる範囲のアウトプットを出して、データ活用へのモチベーションを盛り立てつつ、データリテラシーも向上させていきたいということですね。

伊藤:そういうことです。目的が見えていない状態で、「データを正しく設計する」ということを説いても腹落ちしないかなと。

S.K:ビジュアライズする、ダッシュボードを作る業務だと、まずできるところから小さくやろうという方向ができてきたのは、これからデータ活用したい人たちにとってはいい傾向ですよね。

伊藤:自分自身が持つ課題に対して、データからなにか気づきを得るということができれば、それ以外は私たちがサポートすることができるかなと。なので、まずは「データストーリーテリング」から身に付けてもらうのがいいのかなと考えるようになりました。

データ活用を「日常」にするための工夫とは

本の中でデータリテラシーを鍛える方法として、本の中では以下のように書かれていました。

まずは習い、覚え、毎日使い続け、完全に自分の身体の一部にします。そこに近道はなく、日々修練するしかないのです。

『データドリブンの極意』より

読書会での議論ポイント

これはデータ活用自体にも同じことが言えそう。
ビジネス課題を解決するためには、データやツールを自分の身体の一部のように使いこなす必要がある。「私たちの作ったシステムを毎日使ってもらうためには」どのようなシステムや環境をつくるのがよいのだろうか?

読書会で出た意見

  • 使い始めるためのハードルを低くする。

  • 使うことにより、目的が達成された実感が湧くものにする。

  • BIツールを使用するのも修練が必要。

  • 「データからインサイトを得て、そのインサイトをもとにさらにデータを使用してインサイトを得る」という、アウトプットをインプットに変える部分がデータ活用の流れの中で難しい部分だと思う。そういった循環を生み出せるダッシュボードが「完成されたダッシュボード」と言えるのではと思う。

いま思うこと

伊藤:せっかく導入したシステムやダッシュボードが十分に使われず、「データ活用なんて意味がないよね」と思われたらもったいないですよね。
ダッシュボードやBIツールを毎日使ってもらうために必要な要素は何だと思いますか?

S.K:目的を達成するためのデータや、ビジュアライゼーションがあることは必須です。それに加えて、読書会でも意見が出た、「ハードルが低いこと」は重要だと思います。

伊藤:具体的に、ハードルが低いダッシュボードはどんなものでしょうか?

S.K:具体的には、見やすい、アクセスしやすい、伝えたいメッセージがシンプル、動作が早いが要素としてあると思います。

伊藤:アクセスしやすいことは大事ですよね。
S.Kくんもギターを収納しておくより、机の横に置いておいたほうが毎日練習する気になるって語ってましたし。

S.K:某動画投稿サイトにそんなショート動画がありましたな。
「ハードルが低い」以外だとどんな要素があると思いますか?

伊藤:最終的になんらかのアクションに繋げることができるかは大事だと思います。データを見ているだけでは何も変わらないので、BIツールの導入が意味のないものになってしまう。そうなったらもう毎日どころか使ってもらえないですからね。

S.K:代表的なアクションは意思決定ですよね。
意思決定者にもっていくためのシナリオ作りというのもありそうですね。

伊藤:意思決定者に説得力を持って説明するためにも、

  • 1ダッシュボードに含まれるメッセージの数が少ない

  • ストーリーに沿った構成となっている

はダッシュボードを作るときに意識することが多いです。

S.K:私は特に、まずは1ダッシュボードに1つのメッセージだけにしたほうがいいのでは?と思います。
理由はダッシュボードの訴求ポイントや、ダッシュボード全体のストーリーが分かりやすいから。

伊藤:確かに、何かを伝えられる立場に立った場合、ストーリーに沿って導かれた結論は説得力があるように感じますね。

S.K:「メッセージの数が少ない」ことは、「動作が早い」とも関係していて、実際の業務でも、使っていないビジュアライゼーションを減らして、ダッシュボードの動作を早くしたことがありました。

伊藤:まとめると、毎日使ってもらうためには、

  1.  使い始めるまでのハードルを低くする

  2.  使った後に次のアクションにつながる

ことが大事ということですね。

読書会に参加したことによる変化

S.K:読書会に参加したことで、自分自身に変化は起きましたか?

伊藤:読書会を発案した先輩に「データ活用案件がある」と紹介してもらい、「この業務やりたいです!」と声をあげたら参画することができました。
そこではデータ活用の初期段階として、データの収集からビジュアライズまでを行っています。
その業務の中で、運用が始まったときに負荷が大きくならないようなデータの持ち方や、データの入力フォーマットを考えながら作業をしている点は読書会によって変わった部分だと思います。

S.K:私はとあるお客さまのデータ活用推進部署をサポートする業務をしているのですが、どういうデータがあるか、どういうデータの持ち方をしているか、現状のビジュアライズの課題が何かだけではなく、実際にユーザーがどのような意思決定をしているのかまで気を向けてお客さまと接するようになったのが読書会前後で変わったポイントですね。

おわりに

前後編の記事でしたが、いかがだったでしょうか。
読書会で学んだことを業務に活かしつつ、読書会で結論が出なかったことに対しても、各自業務に持ち帰って取り組む中で何かを見つけつつあることを感じていただけたと思います。

これからも様々な企業のデータドリブン文化醸成を実現するためがんばります!

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