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ようこそマスターの新世界へ #2「商品マスターのメンテナンス作業」

ようこそマスターの新世界へシリーズ、第2回目の更新です。
#1 「商品マスターの過去・現在・未来」で、マスターとは何か、どんな使われ方をするのかをお伝えしました。

今回はさらに深く、インテージテクノスフィアで取り扱っている「商品マスター」はどんなものか、どのように整備しているかをお話しします。

はじめに

今回の執筆時期、長野ではちょうど金木犀の花が盛りを迎えていました。住宅地を歩いているとどこからともなく香ってくるほど、庭木として人気があるようです。
夏の終わり頃から金木犀の香りの季節限定商品が多数発売されます。芳香剤、香水、入浴剤、ヘアケア製品まで…その品数は年々増加しているように思います。秋の香りの代表として広まってきているようです。
同じ香りを謳っていてもメーカーによって少しずつ異なるので、自分のお気に入りのメーカーを探してみるのもおもしろいかもしれません。

商品の数が急激に増えるということは、共通するとある特徴を持った商品がよく売れている、とも考えられます。
「それがどんな商品か」「その商品がどんな特徴を持っているか」というのは、商品マスターを整備するうえで欠かせない情報です。それではくわしくご説明していきます。

品目(商品分類)と属性

#1 「商品マスターの過去・現在・未来」で、マスターとは一定の規則で情報を体系化したデータベースのことを指す、とお伝えしました。
商品マスターにおける規則の中でも特に重要なのが「それがどんな商品か」を振り分けるための「品目(商品分類)」定義と、「その商品がどんな特徴を持っているか」を整備した「属性」定義になります。

品目(商品分類)例

それぞれの品目に定義を作成し、その定義に沿って商品を振り分けていきます。
スーパーやドラッグストアの商品棚をイメージしてみてください。同じような用途の商品は、同じ場所にまとまっていますよね。あのまとまりが品目というイメージです。

商品棚イメージ


振り分けた商品にはさまざまな特徴の違いがあります。品目ごとにどんな特徴を整備するか、これも定義を決めて必要な属性を整備していきます。
例えば下記は、品目:「洗濯用洗剤」での属性のイメージになります。

品目:「洗濯用洗剤」の属性


このように、品目ごとに整備する特徴を「属性」と呼びます。
整備する属性数も内容も、品目によって異なり、多いものだと10や20の属性を設定するものもあります。

属性例


その品目に登録される商品1つ1つについて、何個もある属性を調査し、定義に沿って登録をしていく、というのが私たちの仕事です。

なぜ品目や属性が必要なの?

ではなぜ、そこまで細かく品目(商品分類)や属性を整理する必要があるのでしょうか?
インテージが提供するパネル調査(※1)サービスで分析をする場合、品目や属性があると、さまざまな切り口でデータを見ることができるようになります。

※1 パネル調査:小売店や消費者モニターから継続してデータを収集する調査のこと。インテージが長年にわたり収集しているPOSデータ(※2)は、市場動向や競合状況を把握するために不可欠な「インデックス(指標)」として、国内の主要企業で活用されています。
※2 POSデータ:Point Of Salesの略。商品が売れたときのデータのこと。商品・購入時間・購入店舗・商品数・金額などの情報を持つ。

企業のマーケティング活動(商品企画、広告施策など)の際、どんな商品を開発したらよいか、あるいはどんな人にどのように広告を打てば良いかなどを分析することがあります。それらを分析する切り口として、品目や属性の設定が不可欠なのです。

TVCMや広告などで「売上No.1」を謳っている商品も、よくよく見ると「インテージSRI+ 〇〇市場No.1」という小さな文字を見つけられると思います。実はあの表記も、インテージのパネル調査の結果により表記が認められているものです。
〇〇市場の「〇〇」が商品マスターの品目(商品分類)や属性の名称になっているため、私たちとしても、消費者の生活に直結しているなと身が引き締まる思いを抱く表記です。

商品マスターの整備方法:情報収集

商品マスターを整備するために、さまざまな工程がありますが、今回はその中で、とても重要かつ難しい「情報収集」をピックアップしてご紹介します。

登録する商品は、最初からすべての情報が揃っているわけではありません。GTIN(※3)や商品名しか判明していないもの、GTINと販売データがあるのみで商品名すら分からないものなどもあります。
そういった商品について、さまざまな方法を駆使して属性情報を収集していきます。以下はその中の一部です。

・各メーカーの商品リストやカタログ
大手メーカーであれば大体の場合、自社の商品をまとめた商品リストやカタログを持っています。それらを収集し、商品登録に活用します。

・問い合わせ
リストやカタログでもわからない属性情報はメーカーに問い合わせて確認することもあります。

・ネット検索
メーカーのホームページを確認したり、ネットでGTINや商品名を手掛かりに商品を検索します。稀に誤情報を掲載しているサイトもあるため、複数サイトを確認し、正確な情報かどうか見極める必要があります。

・現物購入
実際に商品を購入します。販売している店舗が限られている商品もあり、グループ会社社員の協力も得て収集します。

・JICFS(※4)や協力小売店の商品マスター
協力会社の保持しているマスター情報を共有してもらいます。GTIN、商品名などの情報しかないことが多いため、別途、属性についての情報収集が必要です。

※3 GTIN:JANコード等の商品識別コード
※4 正式名「JICFS/IFDB」。GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)が管理運営を行っている、GTINコードとこれに付随する商品情報を一元的に管理するデータベースサービス。
<JICFS/IFDBとは>https://www.gs1jp.org/database_service/jicfsifdb/

このように、さまざまな手段を用いて商品情報を収集しています。

最近で特に大変だったのは、コロナ禍による大量購入と商品の増加です。マスク、手指消毒剤、除菌剤などが大量に購入されるようになり、また新商品も多く出てきました。今まで全く違う商品を扱っていたメーカーが急に衛生商品を販売するようになるなど、異業種参入も多くありました。
登録すべき商品数が増えるのももちろんですが、情報収集のために現物を購入しようとしても売り切れでなかなか手に入らず、登録にとても苦労しました。

おわりに

今回は、インテージテクノスフィアで取り扱っている「商品マスター」はどんなものか、どのように整備しているかをお伝えしました。

膨大な数の商品をひたすら登録していく地味で地道な作業にも思えますが、登録した新商品が実際に店頭に並んでいるのを見つけたり、「No.1」広告が出ているのを見たりと、達成感が味わえる瞬間は多々あります。

次回も商品マスターのメンテナンスについて、引き続きご紹介していこうと思います。お楽しみに。

この経験やノウハウに基づき、自社独自の商品マスター構築に関するお手伝いもしています。
https://www.intage-technosphere.co.jp/solution/industry/common/product-data-outsourcingservices/


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