2年間BIツール漬けだった私が3つのBIツールを知ってわかったこと
BIツールって活用されていますか?BIツールは、企業のデータを分析・可視化し、経営や業務効率化などに活用するためのツールです。当社でも、たくさんの相談を受けています。今回は数多くあるBIツールから3つをピックアップし、概要と具体的な活用事例もあわせて紹介します。
自己紹介
みなさん、こんにちは。グループビジネス推進本部システム一部の粟生山(あおやま)です。出身は石川県で、就職を機に一人暮らしを始めました。小学校から高校までの間バドミントン部に所属しており、運動をバリバリにしていたのですが、大学生になってから一切運動しなくなった結果、10kg以上体重が増加してしまいました。これ以上の体重増加はまずいと思い、一旦キープを目標として食生活や運動量に気を付けて生活しています。
業務ではBIツールを活用したダッシュボードの開発・改修といった案件をメインに担当しています。
ツール紹介、その前に
「Tableau」のユーザーコミュニティへの参加
ダッシュボード開発・改修に携わる業務の一環として、2024年1月30日にBIツールのうちの1つである「Tableau」のユーザーコミュニティ(Japan Tableau User Group:JTUG)の10周年記念総会に参加しました。一日中講演やイベントで内容盛りだくさんでしたが、特に私が「面白い!」と感じたイベントはVizつくりまShow!です。「Viz」とは「Tableau」で作成・ビジュアライズされたグラフや表のことです。このイベントは、あらかじめ決められたデータをもとに作成された「Viz」、つまりお題をその場でいかに早く再現できるか競い合うというものです。
総会までに予選が行われ、当日は予選を勝ち抜いた4名での準決勝・決勝が行われました。決勝で出された「Viz」が下記画像です。
「Tableau」の表現できる幅の広さに驚愕してしまいます。しかも(画像では伝わらず残念ですが)龍は左右ににょろにょろ動きます!Viz内に当社のロゴがありますが、これは当社が「JTUG」ゴールドスポンサーになっており、その特典としてViz作成の要件のひとつに組み込まれていました。
「本当に作れるのか?」と疑いたくなるようなお題を、挑戦者はわずかな時間の間に完成させなければなりません。いざ決勝戦が始まると、ファイナリストのお二人はするすると「Viz」を作り上げ、優勝者決定の瞬間には会場にいた参加者のみなさんから自然と拍手が沸き起こっていました。
実際のイベントの様子は、アーカイブ動画でご覧いただけます。
(VizつくりまShow!の模様は2:54:00ごろからスタートします)
また当社のJTUGスポンサー活動はこちらの記事でも詳しく紹介しています。
BIツールを使ってみたいけど…
DX化が急務となっている昨今、さまざまな企業からダッシュボード開発のご相談をいただきます。「BIツールっていろいろあるけど、結局どれがいいの?」と、よく質問を受けます。ためしに「BIツール」と検索すると数十種類のBIツールがヒットしました。これではたしかにどれを選択すればよいのか悩みます。
そんなお悩みの方のために、入社して丸2年、BIツールと向き合ってきた経験をもとに3つのBIツールをピックアップしてみました。3つのうち、実際に私が開発業務で関わったものは活用事例もあわせて紹介します!
多様な表現に優れた「Tableau」
💰価格 ※2024/4/24現在
Tableau Creator:9,000円/月
すべての機能を利用可能です。
ゼロから新しくTableauでダッシュボードを作成したい場合は、Creatorライセンスが必要です。ローカルPC内に作成したワークブックファイルを、Tableau ServerやTableau Cloudにパブリッシュ(共有)することができます。
Tableau Explorer:5,040円/月
Tableau ServerやTableau Cloudにパブリッシュされたダッシュボードの閲覧・編集が可能です。また、パブリッシュされたデータをもとにダッシュボードを新しく作成することもできます。
Tableau Viewer:1,800円/月
Tableau ServerやTableau Cloud上のワークブックの閲覧が可能ですが、ワークブックの編集などはできません。
Tableau Reader:無料
ローカルPC内のワークブックの閲覧が可能ですが、Tableau ServerやTableau Cloud内のダッシュボードの閲覧はできません。
⭐特徴
直感的なGUIによる操作が可能なため、万人受けしやすいツールです。
さまざまなグラフ表現が可能であり、ビジュアライズの自由度が高いのも特徴です。
100万人を超えるユーザーが参加している「Tableauコミュニティ」が存在し、ユーザー同士で盛り上がる機会が多くあります。
💡活用事例
インテージ 知るギャラリーダッシュボード
インテージが運営する企業のマーケティング従事者向け情報サイト「知るギャラリー」に掲載されている、「時間の使い方」と「お金の使い方」ページのダッシュボードを更新しています。2つともTableauで開発を行っており、インテージが保有するパネルデータを活用し、さまざまな切り口で生活者の購買状況などをグラフ化しています。開発当初はダッシュボードでの見せ方が明確には決まっていませんでした。そのため、多様なデータの見せ方ができるTableauを用いて開発を行いました。
手軽に始められる「Power BI」
💰価格 ※2024/4/24現在
Power BI Premium Per Capacity:748,875円~/月
数百人規模でダッシュボードの閲覧者がいる場合に利用するのがおすすめなプランです。ワークスペースに、Premium容量というエリアを適用することができるようになり、そこで共有されたダッシュボードは、無料ユーザーも閲覧することができるようになります。
Power BI Premium Per User:2,998円/月
ダッシュボードの作成、共有に加え、高度なAI機能が追加され、ストレージ上限が大幅に増加します。ダッシュボードを共有する際に、Power BIワークスペースという場所を利用しますが、このライセンスでは3種類のワークスペース(マイワークスペース、共有ワークスペース、Premiumワークスペース)いずれも利用可能です。
Power BI Pro:1,499円/月
Microsoft 365 E5を導入している場合は追加料金なしで利用できます。
ダッシュボードの作成、共有が可能です。ただし、Premiumワークスペースは利用できません。
⭐特徴
Microsoftが提供する「Power BI」は個人利用の範囲だと無料で始められます。Microsoftアカウントがあれば、Power BI Desktop アプリケーションをダウンロードしてお試しすることができ、利用期間の制限もありません。
Excelに近いGUIで、Microsoft製品を使い慣れている方にとって親しみやすく、AzureやPower Platformとも連携がスムーズです。
💡活用事例
経営層向けダッシュボード
経営層に向け、グループ企業の経営情報が迅速に更新・要求に応じて確認できるように開発されたダッシュボードです。
現状の収益情報の把握や今後の経営判断を行う情報として活用するダッシュボードのため、数値の正確性はもちろん、速やかなデータの更新・反映が求められます。そのため、週次のデータ更新はほぼ自動化され、ヒューマンエラーが発生しないような仕組みづくりを行っています。
インテージグループではMicrosoft 365を利用しています。初期投資をおさえてダッシュボード作成をスモールスタートするのにPower BIはうってつけのBIツールだったため、Power BIでの開発となりました。
経営層向け資料のためここでお見せすることはできませんが、以下のような項目をダッシュボードで表示しています。
AWS環境で高速分析「Amazon QuickSight」
💰価格 ※2024/4/24現在
Author:24ドル/月(年間契約の場合18ドル/月)
ダッシュボードの作成、共有が可能。
Reader:0.3ドル/セッション、最大5ドル/月
ダッシュボードの閲覧、データのダウンロードが可能
※1セッション=ログインから30分
⭐特徴
AWS(Amazon Web Service)上で提供されるBIツールです。
AWSのエコシステムとの統合が非常にスムーズに行えるため、AWSを使用している方は、QuickSightを活用することでデータの取り込みや分析が容易に行えるメリットがあります。
インメモリDBを採用した「SPICE」にデータを取り込む事でデータソースへの負荷をおさえて、高速な分析を実行できます。
💡活用事例
AWSが提供しているサービスのため、AWSとの連携はばっちりです。残念ながら私が携わってきた業務では扱う機会がなかったのですが、チャンスがあればこのツールも使ってみたいです。
最後に
今回は、入社して2年間携わってきたダッシュボード開発の経験をもとに、3つのBIツールを紹介しました。表現できる幅が広く直感的に操作が可能な「Tableau」、Excelに慣れた方に親しみやすく無料でダッシュボード開発が可能な「Power BI」、AWS環境との連携がスムーズな「Amazon QuickSight」、それぞれに秀でた部分があることがおわかりいただけたかと思います。
データソースは何で管理をしているのか、利用者は何人くらい想定されるか、搭載するデータ量はどの程度か、などBIツールを使用する際のイメージを膨らませることで、どのツールを利用するのが最適か、その答えが見えてくるかもしれません。
今回のnote執筆は自分が取り組んできたことをふりかえってみる貴重な機会になりました。これからは、すでに経験のあるBIツールに関して知見を深めることはもちろんですが、SnowflakeなどのデータソースとBIツールをつなぐデータ処理部分の知識など、BIツールを含めたデータ活用に関する知識を身に付けていきたいと考えています。
数年後この記事を見て、「この時は情報量が少ないなー」と言えるぐらいに成長できるよう頑張っていきます!